【完】ボクと風俗嬢と琴の音
感じ悪ッ!
人の事言えないのかもしれないけど。
そんな彼の態度をじーっと見つめていて、思わず「デカ」と本音が漏れてしまった。
彼は一瞬びっくりしたように目を丸くして
きょろきょろと周りを見回して、そしてこちらへ視線を移した。
それから身長の話になって
不愛想でクールに見えていても、どこか挙動不審気味にこちらの問いかけに返答をしていく彼を見て
こいつガチでコミュ障?!と少しずつ思うようになり
自分は人と違うんです。とか考えている嫌味な奴ではなく、ただの人見知りだと段々と判明していく。
そして驚く程に趣味がばっちしと合っていた。
自分とは全く違う世界で生きてるような人種だって、同じアニメや漫画を見て
同じ小説や映画を見て感動し、同じ音楽を聴いて共感する。
それってすごい事だと思う。
無表情な時と打って変わり、不意に見せる笑顔はふんわりとした柔らかい雰囲気で
才能の無駄遣いというのはこういう事か、と思わずにはいられなかった。
彼と大学からの同期だという男が彼に対して大きな劣等感を持っているのが、透け透けで
嫉妬に溺れる人間の汚さとは、これ程までに愚かなのか。
イライラしながら、その男が彼を貶める言葉を聞いていた。