【完】ボクと風俗嬢と琴の音
夜の世界に生きていても
太陽のようなあなたの笑顔があったから
暗がりでも、怖いと思う事はなかった。
「おはよう…」
「おはよ」
「あ、よだれ」
ハルがわたしの口元を自分の手で拭う。
「よだれなんて出とらんばい
失礼な事を言うなや」
「いや。これってよだれでしょ。口開けて寝てるからでしょ?」
「口なんか開けとらん!」
「いや、夜中に目が覚めて顔見たら口開けてぐーぐーいびきかいてたし」
「だから女心が分かってないっていうんや」
相変わらず素直になれなくて、照れくささから口が悪くなってしまう。
それでもハルの優しさは限度という物を知らないらしく
わたしの体を自分の方へ引き寄せると、まるで壊れ物でも扱うように優しく抱きしめるんだ。
だからホロッとこちらまで心が柔らかくなってしまうんだ。
「てゆーか、髪すっごく可愛いね」
「え?!」
いきなり。
こっちがドキッとする事を言うのだから
こやつの天然具合いにはこの先も敵わなくて、振り回されっぱなしなんだなぁ~とか思う。