【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「マクベスの台詞?
全然知りやしないけど
小さい頃に見たアニメの中で印象に残った言葉だったから調べた事がある」
そう正直に言ったらハルは笑って「実は俺も」と言った。
顔を見合わせて、再び笑いがこみあげて堪らなかった。
「あーはっはっはっ!!!」
一通り笑い終えた後
ハルは少しだけ黙って、寝転んでいたわたしの手を引っ張って起き上がらせる。
そして神妙な顔つきで一言言った。
「ありがとう」
「え?!何がっ?!」
「代わりに怒ってくれて、ありがとう」
「ばっかじゃないの~?!
あれはあなたの為に怒ったわけじゃないし!!
あの男が明らかにあなたを貶めたいが為に悪口言ってるのなんてすぐに分かったし
あんなの見てて気分の良いもんじゃないよ」
「いやそれだけじゃなくて……
君が、自分が悪くなくても謝っておけばその場が収ればいいやって思ってるんでしょ?って言われた時も
俺はたとえ相手が間違ってる事を言っていても、その場ではムカついても、適当にあしらっていればその場は収まるからまぁいいやって思ってる事は事実で
正直その言葉にはグサッときた」