【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「それは言葉のあやっていうかなんていうか…
別にそれが悪い事ばかりって言ってるわけじゃないんだよ!
我慢してる人がいて…成り立っている世の中だって事は分かってるんだよ。
だからああやってすぐに喧嘩腰になってでも人にぶつかってしまうのは、あたしの悪い癖…
これも自分では分かってるんだけどね」
「でも俺は君を見て、かっこいいなぁって思ってしまった」
「や、止めてよ!
思った事を口に出して感情任せに生きるなんて
ただの子供だよ……」
真っ直ぐに見つめられて、かっこいいなんて言われた経験は初めてだ。
照れくさくて、その言葉がくすぐったくて、パッと立ち上がって、ショートパンツについた埃を払おうとした時だった。
ぐるり。
立ち上がった瞬間、世界が真っ逆さまに歪んで見えて
気持ち悪さが胸にそして喉元にこみあげていく。
あぁ、何で
お酒が大して強くないのは自分でも十分分かってるつもりだったのに
さっきまでがぶがぶお酒を飲んでいて、突然走って、寝転んで、後悔先立たず。
立ち上がった勢いと同時に、口の中からゲロが勢いよく飛び出した。
「げぇーーーーーーー!!!!!」