【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「いやいや…でも猫って案外賢い生き物だよ。
本当に優しい人の事も分かるみたいだし」
「おっ!お前~~あたしがちょ~優しい人間って分かるのか?!
賢い奴だな~!ちょっぴり猫って生き物が好きになった!!」
琴子は琴音に話を掛け続けてるけど
当の琴音は飽きたらしく俺たちに背を向けて寝始めた。
「あははは~無視された~!!はっはっはっ!!」
琴子は笑いながら鞄の中の煙草を取り出した。
それを口に咥えて「あ…」と小さく呟いた。
「ごめん、ごめん、ついつい自分ちの気分だったよ。
それに動物がいるなら猫ちゃんの体に良くないね」
猫は本当に優しい人が分かるらしい。本当かは知らないけど
彼女が第一印象のような人間と違うのは、この数時間でよく理解出来た。
物事をはっきり言うけれど、自分の為じゃなくて誰かの為に怒れる事。
人への気遣いもちゃんと出来るって事。
目の前にには出会った事もないような人種。
派手で、友達にすらなれなそうな見た目。
けれど琴音が懐く理由が少しだけ分かる気がした。