【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「ハルは、仕事何してんの?」


「は、ハル?!」


「だって’はるひと’って何か言いずらい」


「いや、別に良いけどさ…。
俺は営業だよ。全然向いてないけどさ…」


「そぉ?ハルって人当り良いから営業とか向いてると思うけど」


「全然…
女の上司にも叱られるし…つぅか目の敵にされてる…
早瀬にも…あ!早瀬ってのはさっき君がブチ切れた俺の同期で…
部署は違うんだけど!」


「ああ!あのムカつく奴ね!
ハルは怒らないし優しいから当たりやすいんだろーね!
つけこまれやすそうだし」


「つけこまれやすそうって…」


初対面の人間にでも分かるのか。


「きっとそれでもひょうひょうと仕事をこなしてくのもムカつくんだろうけどね。
ハルはスタイルもいいし、顔も整ってるからね。でも男の僻みが1番みったくないけどね」


さらりと人を褒める。
でも全然嫌な気持ちがしないのは
彼女が俺よりずっとひょうひょうとしていて、実にさばけた性格だからだろう。


「いやいや…俺は別に…。
琴子さんは仕事何してるの?」


「琴子でいいよ!!さん付けとかいらんってー、キモイってー」


がははと口を開けて、やっぱり豪快に笑う。
彼女のようにあっけらかんと明るく生きれたら、どれだけ楽なんだろう。


けれど次に彼女の発した言葉に
言葉を失ってしまう。



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