【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「サイズがなくて…」
「全然。
逆にお気遣いありがとう」
丁寧にリビングに敷かれた布団の真ん中で琴音が移動して寝ていた。
「どうぞ。俺の布団で申し訳ないけど」
そう言ったら、ハルはリビングの端っこでタオルケットを掛けて横になりだした。
それはさすがに焦る。
「え?!いいよ!ハルが布団に寝なよ!」
「いいって!風邪ひいちゃうから!」
「…でもそんな事言ったらハルが風邪ひいちゃうよ…
それとも一緒に寝る?」
「は?!!!!何馬鹿な事言ってんの?!」
顔を真っ赤にして、新鮮な表情を見せる。
思わず吹き出すわたしに「何笑ってるんだよ!」とちょっぴり怒り口調になる。
何こいつ。
変な奴。
でも知ってるんだ。
男って奴は、どんな奴もおんなじだって事。
性を売り物にしているわたしだからこそ言える事。
綺麗ごとだけでじゃなくてさ
同世代の大半の女の子よりかは、男って奴を知ってる。
ちゃらそうに見えたって、真面目そうな奴だって、根は全部同じ。
ましてや期待なんかしちゃいないし、そうまで捻くれてしまった自分は残念には思うけど
知っていた方が傷つかない事だって多い。