【完】ボクと風俗嬢と琴の音


女を家に泊める男の目的は全部一緒。
結局穴がありゃいれたくなるのが人間の性っていう奴で
それを悪なんて思いやしない。


きれいは汚いし
汚いはきれい。


物事は表裏一体だったりする。
今更そんな事で傷つく程純粋な女じゃないし
それはハルだって分かってるだろう。


わたしが風俗嬢だから家に泊めるなんて考えついたのだろう。
無料(タダ)でヤれるもんね~。男からしたらラッキーだろう。



それにわたしだってタダで家に泊めてもらうつもりはない。今までだってそうやって生きてきたんだしさ。



でもこいつは、人間的に良い奴だ。
男は男だけど
見ず知らずのゲロ女を家まで連れて来てくれたり
猫を可愛がっていたり
一流企業に勤めているのに、こんな頭ぱっぱらぱーな女に親切にしてくれたり




仕事をしていたって、それが男の知り合いであったとしても
素性を知ればわたしを物扱いしてくる男は少なくはない。
傷ついたりなんかしないよ。傷ついて泣いたりなんかしたってそれは一人芝居で、誰の心にも響きやしないんだもん。



それならば、わたしは豪快に笑って見せる。
悲しみを、泡のように吹き飛ばして
夜の空を睨みつけながらも、笑って生きてやる。
惨めなんかじゃない。



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