【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「じゃあ…どういうつもりだっての…」


「女の子なんだから、自分の体は大切にしなさい!」


まるでお母さんのように小言を言う。
マジでイマドキそんな言葉大真面目な顔をして言う奴がいたのか。


「大切にしなさいって…。
それ、風俗嬢に対して言う?」


「風俗嬢たって、今は仕事じゃないだろ。
そして仕事をしていない時の君は普通の女の子だろう」


そんな当たり前の言葉に戸惑うくらい
どこか染まり切っていた自分に気づく。
嫌だな、そんな使い古された言葉に目の前が霞んでいくなんて


結局自分自身で普通の女の子って言い聞かせていたって
どこかで風俗嬢である自分が普通じゃないって思いこんでいたのは、誰でもなく自分自身じゃないか。
これじゃあ、人に優しい言葉を掛けてもらいたがっている、弱い人間そのものじゃあないか。


「イテテ…目が痛い」


誤魔化すように目を擦る。
ずっとカラコンをいれてたから目が乾いていたのは事実だけど
心の方がカラカラだったのは、ハルの言葉を聞いて気づいた。


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