【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「冗談だって。
あたしだってハルみたいな人種とは絡んだ事ないし、別世界の人間だと思ってたよ。
だからこうやって楽しく喋ったりするのウケる」
「さっきさ…家賃が払えなくて追い出されたって言ってたけど…」
う……。
思い出したら胃がキリキリと痛くなってきた。
もちろん最近は真面目に働いて、滞納していた前の家の家賃もきちんと払い
新しい家を探すためにお金を貯めている。
次はちゃんと家賃を払い続けて、最低レベルの人間としての生き方はしていかないとヤバいと思ってる。
もう20歳なんだし。
はぁ~~…誰か管理してくれたら楽なんだけど。管理してもらわなきゃ生活が出来ないのも問題だが…。
「そ~なんだよね~。
今はユカリんちに厄介になってるんだけど…
大体風俗嬢って普通の職業よりかは稼げるはずなんだけど…
でも次はちゃんとするって決めてるの!!
でも保証人がいないとまともな家は借りれないんだよね~悩みどころだわ~」
「そっかぁ……」
「まぁハルみたいにきちんとしてる人には分からない悩みね」
「いや、分かるよ。うん、分かる…」
ハルは初めから、わたしの職業に対しても
だらしなさに対しても否定してくる事はなかった。