【完】ボクと風俗嬢と琴の音

月の綺麗だった夜。


正反対のふたりで、夜通し語り合っていたね。


話は尽きる事がなかったあの日。


運命だよ!なんて言えるほどロマンチックな出会いではなかったし


まるでどこにでもありふれている景色の中で


ハルの世界は、わたしにとってキラキラとして見えて


幸せの本当の意味を考える。






ジュージュー。
トントン。
その規則的な音で目が覚める朝。


気づけば布団の中にいて、タオルケットが掛けられていた。


「にゃーーー」


目を開けると、まるで「おはよう!」と言ってくれているような琴音の朝の挨拶。


「琴音、おはよう」


そう言うと、ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってくる。
猫ってこんなに可愛いものなのねっ!
知らなかった………。



リビングから見えるキッチンでは大きなハルが腰をかがめて何かを作っている。
良い匂いが部屋中に充満して



「あぁ、おはよう」


「おはよ!!結局あたしが布団占領しちゃったみたいだね!!」


「琴子、全然起きないから。
もう9時だよ?!」


「…まだ9時じゃん。
まだ眠いなぁ~…」


起きた、起きた、と無理やり布団から追い出されて
ハルは布団を、ベランダに干し始める。


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