【完】ボクと風俗嬢と琴の音
ご飯を終えて、コーヒーを淹れてくれた。
壁にかかっている時計の時間を見て、今日は出勤しなきゃなぁ~って考えている時だった。
「ねぇ」
「ん?」
ハルが、神妙な面持ちでこちらを見つめる。
その顔が余りにも真剣だったから
え?!
何?!
「あのさ……」
だから何?!
もしかしてこいつ、わたしに惚れた?!
いきなり告白とか?!
無理無理無理無理。
堅物そうだから、一夜だけでも家に泊めたから責任取るとか?!
いやいやいやいや。
こっちにだって選ぶ権利はある。
あっちにだってあるけど…。
ハルはもじもじしながら、何か言いずらそうにしている。
大きな体をくねくねさせて。
そして少し顔を赤らめて。
これ、絶対告白じゃん!
そう思ったけれど、ハルは昨日の夜と同じように思いもしなかった言葉を口にした。
「あのさ、俺と一緒に暮らさない ですか?」
それは告白よりも衝撃的だった。
開いた口が塞がらないくらい。
頭の整理がつかなくて、ハルの言っている事が理解出来ない。
琴音がわたしの膝の上に乗ってきて
肩に乗せよ。と目で訴えかける。
いつだって予測不明の行動を見せるあなたは
わたしに知らない自分の姿を見せてくれた人。
出会った時から
そんな予感をしていたの。