【完】ボクと風俗嬢と琴の音
だからこそ
人と共同生活なんて不安だらけだけど
この子となら何となく上手くやっていける。
そんな予感がしたんだ。
不動産屋に行って、契約を決める頃には夕方になっていた。
夕暮れの沈む河川敷を歩きながら、駅までの道をふたりで歩いた。
「いや~!まさか昨日今日会った人とこんな急展開になったのは初めてだよ!」
「それを言うなら俺だって。
まさか今日言って、そのまま契約するなんて夢にも思わなかったよ」
「あははは~!
まさか一緒に暮らさない?と言われるとは思わなかったぁ~。
でもあたし的にはラッキーだけどね。
冷蔵庫とか洗濯機だってないから、それも共有で使わせてくれるなんて超ラッキーだし!
大体新しい家に住むっていっても保証人の事で困ってたから~」
「いや、俺の方こそ……
出張の時は琴音の面倒見てもらっていいんだよね?」
「全然いいよー!
そん時だけは夜遊びせずに琴音様の為に仕事終わったら直帰します!!!」
振り返り、啓礼をビシッと決めた。
なんていうかー…お調子者で、どう見ても信用に値するようなタイプには見えないんだけど
もうこれは直感としか言いようがない。