エリートパイロットの独占欲は新妻限定
悩み抜いた末に見つけた答え
「えええ!? プロポーズされた!?」
いきなり驚いたように叫んだのは由宇の大学の友人、久保木佐奈だ。
三月も中盤に差し掛かり、まもなく佐奈は新社会人となる。たったひとりの家族を亡くして元気のない由宇を励まそうと、彼女が外に連れ出してくれていた。
平日の午後、駅前にあるカフェは空席こそあるものの、周りにいた人たちからチラチラと視線を浴びる。
「もうっ、佐奈ってば声が大きい」
テーブルを挟んで向かいに座る佐奈に、由宇は〝しー〟と人差し指を立てた。
「だって由宇がプロポーズされたなんて言うんだもん。驚くに決まってるじゃない」
佐奈は形のいい唇を尖らせて眉をひそめ、胸もとで緩くカールした髪を肩のうしろへ払った。
大きな目が魅力的な佐奈は、人の目を引く美人だ。平均的な身長の由宇より十センチも背が高く、スタイルも抜群。平凡を地でいく由宇とは正反対といっても過言ではない。