エリートパイロットの独占欲は新妻限定


◇◇◇◇◇

智也は、どこか遠くから名前を呼ばれた気がした。深い海の底を漂っているかのようにしんとした空間で、その声が反響する。

水を掻くように無意識に手を伸ばし、やわらかな肌触りを探した。


「……也さん……智也さん」


再び呼ばれ、体を揺り動かされたところでようやく薄っすらと目を開ける。視界に入った由宇は満面の笑みを浮かべていた。


「やっと起きた」
「……今何時?」


思いのほか声がかすれる。


「もう十一時ですよ」


なんだ、まだそんな時間じゃないかというのが本音だった。

自分でも呆れるくらいに由宇を求めて、体の高ぶりをぶつけ、眠りについたのは明け方近く。もう少しその余韻に浸っていたい。
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