エリートパイロットの独占欲は新妻限定
しなやかな手足の動きに魅せられ、思わず見とれる。反対側のプールサイドから戻ってきた由宇は顔を上げて、「智也さんは泳がないの?」と小首を傾げた。
「あんまり綺麗に泳ぐから驚いてた」
「こう見えて水泳部でしたから」
どこか誇らしげに言う。
ただ単に得意なだけでなく水泳部だとは。色白の由宇からは想像もつかない。
「イルカかと思ったよ」
「ふふっ、イルカって。人魚の方がよかったな」
あぁたしかに。由宇のような人魚だったら、泡になって消える必要はないだろう。姫よりも断然由宇だ。
「もしかして智也さん、泳げないの?」
「そんなわけがないだろう? 俺だってこう見えて」
「水泳部?」
由宇が目をキラキラさせて智也を見つめる。
「残念、陸上部」
「なぁんだ」
クスクスと笑ってから、由宇は智也の手を引いて泳ぎだした。