エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「もちろんオッケーするんでしょう?」
ノーの選択肢はどこへいったのか。佐奈は当然とばかりに問いかけてきた。
「まさか!」
「へっ? なんで!?」
「なんでって、付き合ってもいないのにいきなり結婚なんだよ? お父さんによろしく頼むって言われたからってだけで」
和幸も罪なことを言い残したものだ。由宇と智也が付き合っていたのならともかく、顔見知り程度の間柄だというのに。
「それならそれでもいいじゃない。超がつくほどのイケメンのうえパイロットだよ? 逃す手はないでしょ」
由宇の尻込みはそこにも理由がある。佐奈のような美人なら少しは違う気持ちだったのかもしれない。
「由宇の元彼はどんな男だったっけ?」
「どんなって……大学の同級生だけど」
英語のクラスが一緒になったのが縁で付き合うようになったが、半年と経たないうちに彼の浮気で破局。たった一度きりの恋愛経験だ。