エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「ふたり目の男にしてパイロットなんて、どんなアクロバティックな技を使ったの?ってくらいのジャンプアップだよ」
「アクロバティックって……」
その言葉のチョイスはどうなのだろう。
「就職先だって見つかってないんだよ? 家だって出なきゃならない。真島さんが『ゆっくり考えればいい』って場所を提供してくれてるんだから、それに甘えちゃえばいいの」
「お父さんによろしくって言われただけなのに?」
同じ言葉を繰り返して聞くと、佐奈は「うん」と力強く頷いた。
「由宇だって真島さんを好きでしょ?」
「えぇっ!?」
由宇はお尻も心臓も飛び跳ねた。その拍子に椅子がガタンと鳴る。
さっき佐奈を注意した張本人が、今度は大きな音を立てるという不始末。またもや周りから視線を浴びた。
いきなりなにを言うのか。
「病室でいつもポーッと見とれていたのは知っているんだからね」