エリートパイロットの独占欲は新妻限定


「あれはもう何年も前に撮ったもの。よく見ればわかると思うけど、髪型も今と若干違う。由宇に送られてきたのは全部過去の写真なんだ」
「でも……」


そう言われて、すぐに納得できるものでもない。香澄がそこまで嘘をつく理由がわからないから。


「これを見て」


そう言って智也は自分のスマートフォンの画面を由宇に見せた。
カレンダーのような表に智也の名前が書かれ、外国の地名がたくさんある。シフト表のようだ。


「俺がハワイに行っていたとき、香澄はバンクーバー」


智也は香澄の名前が書かれたものと交互に表示させて由宇に説明した。


「ほかの日も同じように、ほとんど香澄とはかぶってない。全部彼女のでっち上げだ」


智也の言う通りだった。ふたりのシフト表を見比べてみても、同じフライトは過去一ヶ月で一度きり。由宇のメッセージに送られてきたものと香澄のフライトは一致しなかった。
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