エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「どうしてこんな嘘を……?」
由宇の疑問に智也は困ったような顔をする。
「じつは何年か前から香澄にアプローチされてて。そのたびに断り続けてきたんだけど、なかなか納得してくれなかったんだ」
まさか彼女から好意を寄せられていたとは。
「智也さんは香澄さんをなんとも思ってないの?」
香澄のような美女からアタックされて心の揺れない男性がいるのだろうか。
「あたり前だろう? 俺には由宇がいるんだから」
「だってあんなに美人だし、スタイルはいいし色っぽいし」
由宇にはどこにも敵う部分がない。
「由宇は自分の魅力に気づいていないだけ」
そう言われてもまったくピンとこない。子どもっぽいだけの自分のどこにそんなものがあるのか。