エリートパイロットの独占欲は新妻限定
実際に会ったのは和幸が闘病生活を始めてから。聞いていたとおりの心優しく純粋な女性だった。
病室で何気ない会話を交わすうちにその可憐な魅力に心惹かれ、いつしか恋心に変わったのに気づいたのはまだつい最近の話だ。
「三杉さん、お話ししたいことがあるんです」
背筋を伸ばし両手を膝の上にそろえる。
「改まってなんだ」
窓の外を見ていた和幸は智也を見て目を細めた。
「由宇ちゃんを俺に任せてくれませんか?」
「……任せる? それはどういう意味だ?」
和幸が眉根を寄せる。智也は細く長く息を吸い込み、彼を強い眼差しで見た。
「由宇ちゃんを俺にください」
和幸は力の弱まった目を見開き、訝しげな顔をする。
「由宇と付き合っていたのか……?」
「いえ、そうではないのですが」