エリートパイロットの独占欲は新妻限定
『由宇ちゃん、俺。真島です』
初めて電話越しに聞いた智也の声が、やけに胸に響く。ずっと聞いていたくなるほど優しく聞こえるのは、和幸の遺言を読んだばかりだからなのか。
「はい……」
『ひと晩考えて出した答えを聞かせてくれる?』
ドキドキとスピードを上げていく鼓動。いったいどれだけ速くなるのかと不安を覚えるほどハイスピードで、呼吸まで苦しくなる。
「真島さんは、本当に私と結婚していいんですか? 後悔しませんか?」
それだけが心配だった。いくら尊敬する先輩の頼みとはいえ、さらっと決めてもいいのか。
『後悔しないよ』
覚悟を決めているのか、一点の曇りも感じさせない回答だった。
『由宇ちゃんの答えは?』