エリートパイロットの独占欲は新妻限定
改めて聞かれ、由宇はその場で正座をして背筋を伸ばす。
「よろしくお願いします」
『イエスってことだね?』
「……はい」
亡くなった和幸が望んだ結婚なら、その願いを叶えてあげたい。それが、できずに終わった親孝行だと思いたかった。
電話の向こうから、ふぅっと息が漏れるのが聞こえる。
『いい返事を聞けてうれしいよ』
智也の声が弾んだように聞こえてホッとした。嫌々ではないと思えるのはせめてもの救いだ。
『明日はニューヨークに飛ばなきゃならないから、次に会えるとしたら四日後かな。帰ったら連絡するよ』
咄嗟に和幸のデスクにある卓上カレンダーを見たものの、十二月で止まったまま。ずっとバタバタしていたため、今日が何日なのか何曜日なのかすぐにピンとこない。
「……わかりました」