エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「いや、ニューヨークから戻って、ここへ直行だよ。……あ、こんな格好だから?」
智也が自分をざっと見て両手を広げる。
「通勤はいつもこんな格好なんだ。車で通ってるしね」
「そうなんですね」
「そういえば三杉さんは堅めのスタイルを貫いていたっけ」
スーツでこそないけれど、和幸はいつもブレザーを着て比較的かっちりとした格好で通勤していたのだ。
「行き帰りの服装は自由なんだ」
どのみち制服に着替えるからだろう。
「上がらせてもらっていい?」
智也は家の奥を指差して首を傾げた。
「あ、はい。散らかっていますけど」
荷物の整理をしていたため、ダンボールがところどころに積み上がっている。