エリートパイロットの独占欲は新妻限定


スリッパに履き替えた智也は、真っすぐ仏壇へ向かった。遺影の前に正座し、焼香して手を合わせる。


「三杉さん、由宇ちゃんと結婚することになりました」


うしろに控えていた由宇の肩がビクンと弾む。智也はその報告のためにここへ来たらしい。


「これからは三杉さんの代わりに守っていきますので、どうか天国から見守っていてください」


そう言った後、しばらく手を合わせ続ける。和幸となにかこっそり話しているような感じにも見えた。


「さてと、三杉さんへの報告も済んだし食事にでも行こうか」
「えっ……」


爽やかな笑顔を向けられ言葉に詰まる。


「俺たちの記念すべき初デート。ほら行こう、由宇」


――デ、デート!?
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