エリートパイロットの独占欲は新妻限定


目が点になった。おまけに心臓も大きくジャンプ。立ち上がった智也が手まで差し出すからたまらない。


「由宇、立って」
「はいっ」


顔の前でひらひらと揺れる智也の指先。早くそこに手をのせろと言いたいのだろう。
息をつめてそーっと伸ばした手は、彼の手に触れた途端ぎゅっと握られた。ドキッとしている間に引き上げられるようにして立ち上がる。


「あのっ、それじゃ着替えてきます」


パーカータイプのスエードのワンピースは完全に部屋着。智也のようなエリートと一緒に歩くのだから、せめて着替えくらいさせてもらいたい。それで吊り合うかと聞かれたら、絶対に頷けないけれど。


「え? かわいいからそのままでいいと思うけど」
「かっ……」


サラッとかわいいなんて言わないでほしい。切り返しもできずにモゴモゴと口ごもった。顔は当然ながらりんごのように真っ赤だ。
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