エリートパイロットの独占欲は新妻限定

「真島さん、素敵だから緊張するなって方が無理です」
「うれしいこと言ってくれるな、由宇は。好意的にとらえちゃうぞ?」


曖昧に笑って返すしかない。
好意的も好意的。憧れの人だ。


「荷物の整理はいつ頃できそう?」
「まだちょっと見当はつかないですけど、明け渡しの期日までにはなんとか」


なにしろ二十年近くも住んでいた家。たったふたりの家族といえど、積もり積もった荷物がある。


「できるだけ早く一緒に暮らそう」
「真島さんと、一緒に」


ひとり言のように呟く。
結婚するのだから一緒に住むのは当然。でもそれを改めて言葉にするととても気恥ずかしい。


「そう、俺と一緒に」


智也が優しく微笑む。


「式は喪が明けてからにするにしても籍は早急に入れよう」
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