エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「入籍」
さっきから由宇は言葉が不自由になってしまったかのよう。片言の言葉しか発していない。
その言葉に心臓がドクンと鳴る。
「あ、そうだ」
智也はなにかを思い出したかのようにジャケットの胸ポケットを探った。出てきたのは小さな箱。手のひらサイズの深紅のケースを由宇にそっと差し出す。
それってもしかして……。
その形状から中身の予測がつく自分を卑しく思ってしまう。思い違いでなければそれは……。
「開けてみて」
恐る恐る手に取りゆっくり開けると、月明かりに照らされたような静かな輝きを放つリングがあった。緩やかな細身のVラインの中央には、ブリリアントカットされたダイヤモンドがキラッと光る。
「わぁ」
無意識に感嘆の声が漏れた。美しすぎて手を出せない。