エリートパイロットの独占欲は新妻限定


しかもケースの内側には有名なジュエリーブランドの名前が記されていた。


「気に入ってもらえるといいんだけど」
「これ、私に?」
「ほかに誰かいる?」


クスクスと智也が笑う。
こういうものを見ると、本当に結婚に向けて動き出したのだと思い知らされる。


「昨日、ニューヨークの本店で受け取ってきたばかりのできたてホヤホヤ」
「お弁当みたいですね」
「たしかに」


一緒に笑い合うと、ふたりの間の空気が和み、親密度が深まったように感じた。

ふとそこで智也の言葉に違和感を覚える。

〝受け取ってきた〟? 〝買ってきた〟ではなく? それに〝できたて〟って……。


「真島さん、この指輪、注文してあったものなんですか?」
「勘が鋭いね。実は以前ニューヨークに飛んだときに頼んであったんだ」


となると、由宇にプロポーズをするよりずっと早い時期になる。
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