エリートパイロットの独占欲は新妻限定
次回の旅行もそこに行きたいと言うくらいだから、よほどよかったのだろう。
「神秘的な島だよ」
「真島さんも行ったことがあるんですね」
「フライトでね。だから俺もあまり詳しくはないけど。由宇、海外は?」
「高校の卒業旅行でグアムに行きました」
たった一度きりの海外旅行である。
「あ、そういえば、そのときのフライトには俺も乗っていたんだよ」
「えっ!? 真島さんが!?」
「副操縦士としてね。キミのお父さんから『娘の乗る飛行機だ。しっかり頼むぞ』って」
「そうだったんですか」
トクンと鼓動がひとつ揺れる。
あのグアム旅行の飛行機のコックピットに智也さんがいたなんて……。
勝手に縁と結びつけて考えるのは乙女チックすぎるだろう。たまたまそうだっただけ。
そう思いなおしてときめきを封じ込める。
「いつか由宇を乗せてまた飛ぼう。飛行機からの素晴らしい景色を見せてあげたい。星空なんて最高だよ」
「星空?」