エリートパイロットの独占欲は新妻限定

◇◇◇◇◇

区役所で婚姻届を提出した後、由宇は初めて智也のマンションにやって来た。
由宇の自宅の片づけもほぼ完了。三日後にここへ引っ越すことになった。

シックながらも高級さを感じさせる中層のマンションは、空港に比較的近いためパイロットがたくさん住んでいるという。
オートロックを三ヶ所通過するほどセキュリティもしっかりしており安心感がある。

智也の部屋は七階にあり、3LDKという贅沢な間取りだ。角部屋のため二方向に大きな窓のあるリビングは、三十畳はありそうな空間。真っ白な壁と、黒いレザーソファやラグとのコントラストが美しく、センスのよさを感じさせる。


「ここで一緒に暮らすわけだから、由宇の好きなように模様替えしてもいい」
「このままで十分です。真島さん、センスがいいですもん」


下手に手出ししたらアンバランスになりそうだ。


「由宇」


歌うように抑揚をつけて名前を呼ばれ、智也に向きなおる。
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