エリートパイロットの独占欲は新妻限定


――妹さん!?

智也の実家を訪れたときにその存在は聞いていたものの、まさか今日のうちにここで会えるとは思ってもみなかった。


「は、はじめまして、由宇です」


おろおろしつつ頭をぺこっと下げる。

たしか智也のふたつ年下だと言っていたから、ちょうど三十歳だ。
深雪は両手にいっぱいの荷物をフロアに置き、ニコニコと屈託のない笑みを浮かべた。

すごく優しそうな人。第一印象がとてもいい。


「いきなり結婚なんてびっくりしちゃった」
「驚かせてすみません」


慌てて頭を下げる。両親に対してもそうだが、初顔合わせが入籍後なのだから。


「由宇が謝る必要はないよ」
「そうそう。お兄ちゃんが強引に進めたって聞いてるから」
「強引は余計だ」
「はいはい。言い合いしている暇はないんでしょ?」
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