エリートパイロットの独占欲は新妻限定
憮然とする智也をシャットアウト。深雪は持ってきた荷物の中から大きな黒いボックスを持ち上げた。
「そうだった。由宇」
智也がハッとしたように由宇に向きなおる。
「今夜、同僚たちとちょっとしたパーティーがあるんだ」
「パーティーですか」
「そこに由宇も連れていこうと思って」
いきなり話を振られて面食らう。
会社絡みのパーティーなんて、ちょっとハードルが高い。
「由宇が思うような立派なものじゃない。俺と由宇の結婚をひっそりと祝おうかって言ってくれてるんだ。三杉さんが亡くなったばかりだから盛大なものじゃなくてね」
「でも私、そういうのに行けるような服は……」
パーティー仕様のワンピースを持っていない。
「それで私の出番ってわけなの」
深雪が胸を張ってアピールする。