エリートパイロットの独占欲は新妻限定


彼が結婚という形をとってくれなければ、きっと寂しかっただろう。


「わわっ、新婚にあてられちゃった」


深雪がおどける。


「すみませんっ」


そんなつもりではなかったため勢いづけて謝ると、深雪は「謝らないの。新婚なんだからラブラブで当然」と笑い飛ばした。

それからは深雪もメイクアップに真剣顔。由宇は口を挟む隙もなく、目を開けたり閉じたり、指示されるがまま。約三十分でメイクアップが完了すると、今度はヘアスタイルをいじりだした。

ヘアアイロンをあてて、なんの変哲もないボブにアレンジを加えていく。早く鏡を見たい衝動を抑えるのに必死だった。


「よし、でーきたっと。あとは洋服を着替えれば完成だね」


深雪はなんと由宇が着る洋服まで用意しているらしく、バッグと一体型になったハンガーカバーからワンピースを取り出した。
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