エリートパイロットの独占欲は新妻限定


和幸の保険金と自宅の売却でまとまったお金も多少入るから、少しの間なら凌げる。


「アルバイトで女性がひとりで生きていくのは、今の時代そんなに簡単じゃないよ。それなら俺と結婚して、今後についてはゆっくり考えればいい」


ひとりで生きていくのが大変なのも、アルバイト生活が侘しいのもわかっている。でもだからといって、智也と結婚というのはいきなりにもほどがある。

友達も恋人もすっ飛ばして結婚なんて、あまりにも唐突。女性なら誰でも憧れるようなハイスペックで見た目も申し分ない男なのだから、恋人だっているだろう。いないわけがない。


「ちなみに彼女はいないよ。キミにも彼氏はいないと三杉さんから聞いてる」
「えっ……」


頭の中を読まれたかと思った。思わず隠すようにして頭を抱える由宇を見て、智也がクスッと笑う。
智也ほどの男に恋人がいないなんて誰が信じられるだろうか。


「信じてないだろう」


またもや読まれた。
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