エリートパイロットの独占欲は新妻限定
本当に朝まで話だけなのかと邪推してしまった。
なんとなくもやっとする自分も嫌になる。すべて結婚前の話だし、智也の優しさは由宇が思っている以上なのかもしれない。気にしすぎたよね、と思いなおした。
「由宇ちゃん、どうかした?」
香澄に顔を覗き込まれて我に返る。美しい顔に見つめられて動揺せずにはいられない。智也も香澄の眼差しにこうしてドキドキするのかなと、再び余計なことを考えた自分をバカバカ!と責める。
「あ、いえっ、なんでもないです」
急いで首を横に振ってからワインを喉に流し込むと、体がカーッと熱くなった。