エリートパイロットの独占欲は新妻限定

◇◇◇◇◇

翌日の朝、由宇の目覚めは最悪だった。

あの後、ワインを飲み続けた由宇は酔っ払い、足もおぼつかないくらいになったのだ。おかげで記憶は飛び飛び。智也に抱き上げられて帰り着き、自分で着替えたのは覚えている。
それもこれも、香澄のようにワインをたしなむ大人の女に近づきたいがため。ところが近づくどころか、かえって遠ざかった気がしてならない。

だるい体を無理に起こしてみたら、リンゴーンリンゴーンと大きな鐘が鳴るような頭痛に襲われた。


「イタタタ」


しかめっ面でこめかみを手で押さえる。


「ここって……」


由宇が寝ていたのはキングサイズのベッド。昨日、寝室だと案内された部屋だ。


「……智也さんは?」


ここにはいない。ならばリビングの方かと、ふらつく足を踏ん張りなんとか立ち上がる。
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