エリートパイロットの独占欲は新妻限定


それが引け目でもあるのだけれど、それをここで佐奈に言ってもどうにもならないだろうと言葉を飲み込む。


「新婚生活は順調? さぞかしあまーい生活なんだろうけど」


紅茶のカップを両手で持って口もとにあてながら、佐奈はニヤニヤとした。それと対照的に由宇は神妙な顔を彼女に向ける。


「ねぇ佐奈、私って子どもっぽいかな」
「え? べつに特別子どもっぽいとは思わないけど。年相応じゃないの?」
「年相応か……」


それではダメなのだ。
肩をがっくりと落とし、ソファの背もたれに体を預ける。


「なんでそこで落ち込むの」
「……智也さんと、してないの」
「してないってなにを?」


言いづらくて仕方がない。
佐奈は目をぱちくりとさせた後、すぐにピンときたようだ。


「まさかセックスしてないって言うの?」
「はっきり言わないでっ」
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