田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
そして誕生日パーティーの幕が上がる。
私はアレックスとアレクシスの2人にエスコートされて席に向かう。
思えば去年の誕生日は馬車の中で過ごしたから、こうやって皆にお祝いされるのは初めてだ。
お父様の言葉から始まり、祝福の拍手を贈られると私と双子たちは丁寧にお辞儀をした。
すると会場内にはオーケストラの生演奏が響き渡り、各々ダンスに談笑と楽しむ光景が見られた。
初めての社交界でもこんな感じだったなぁ…としみじみ眺めていると、突然お父様に呼び出されて向かったそこにはエヴァンもいるようだった。
私とエヴァンは目を見合わせて2人で並んでいると、嫌な予感が頭をよぎる…と思ったその時だった。
「皆、皇太子アレックスとリディネイラ王国王女のロレッタ姫の婚姻についてはご存知だと思うが、今日ここに皇女である娘、シャルロットにも婚約が成立したことを発表する!相手はタイクーン公爵家長男、エヴァン・オルグレン・タイクーンだ!」
そう高らかに宣言すると、会場からはわあっと大きな拍手がおこった。
こんなこと一言も聞いていなかったので、私とエヴァンはお互い顔を合わせて少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「全く…アドルフったら娘の婚約がよっぽど嬉しいのね。…おめでとうシャルロット」
「お母様!」
いつの間にか後ろからお母様が近づいてきて扇であおぎながら笑みを浮かべていた。
「皇女様、本日はおめでとうございます。婚約も…無事にお決めになったのですね。よかったです」
ロレッタ様も私の元へやってきて自分のことのように喜んでくれた。
「ロレッタ様まで…その節はありがとうございました」
「いいえ、お役に立てたようでよかったです」
あの頃恋という言葉すら知らなかった私に決定打を与えてくれたのはロレッタ様だ。
知らないままだったら今頃まだ迷宮に入ったような気持ちでいたかもしれない。