田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
こうして3曲続けて踊り終えた私はダンスフロアを離れ、水を飲んでいた。
さすがに踊りすぎた…と思いつつも何だか幸福感に満ち溢れている。
だって今私の横には最愛の人がいるから…。
「皇女様、お疲れのようでしたらこちらへどうぞ」
エヴァンは微笑みながら私を連れ出してくれる。
懐かしのバルコニーへ…。
思えばあの時から私は彼に恋をしていたのかもしれない。
私の心は変わったけれど、ここからの風景、春の香り漂う空気…。
それは1年前と何ら変わっていなかった。
「ここ、懐かしいね。初めてあなたと話をした場所…」
「それだけじゃない。俺がシャルロットに求婚したところでもある」
「ふふっ、そうね」
「…だからこうして正式に婚約が決まった今、改めて言わせてくれ」
そう言った彼は懐から小さな箱を取り出してパカッと開いてみせた。
そこには透明に光り輝くダイヤモンドの指輪…。
「エ、エヴァン…!?」
私が驚いているうちに彼は床に膝をつけて私を真っ直ぐに見つめる。
吸い込まれそうなあの金色の瞳に…。
「皇女様にとってはありふれた宝石の1つかもしれませんが、これはあなた様を一生幸せにするという約束の証です。改めて…俺と結婚してください」
私は彼の誠実な姿と、言われた言葉に感動しながら満面の笑みを浮かべた。
「はい、もちろんお受け致しますわ」
するとエヴァンは一瞬にこりと微笑んでから私の左手の薬指にそのダイヤモンドの指輪をはめてくれた。
そして月明かりからも隠れるように私たちはそっと口づけを交わしたのだった──────