田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
「お願い!少しでいいから私に付き合ってくれないかしら?」
「姉様の頼み事?一体どうしたんです?」
次の日、私は双子の弟の方のアレクシスの部屋を訪ねていた。
ちなみに初めて会った頃は顔が似すぎて区別がつかなかったけど、今では瞳が緑色なのが弟、私と同じ青色が兄と分かるようになった。
2人とも髪色がお母様と同じ茶色なのが救いだ。
「実は…ダンスの練習に付き合ってほしいの」
もちろんダンスレッスンは教えてくれる先生がいるのだけれど、その時間だけじゃ一向にうまくならないのだ。
と、いうことで近くにいい相手がいることを思い出した私はアレクシスを訪ねたというわけ。
するとアレクシスはにやりと不敵な笑みを浮かべて、ぐっと私に顔を近づけてきた。
「な、何…?」
私は思わず反射的に顔を逸らす。
双子たちは…というかアレクシスはどういう訳か私をもて遊ぶかのようにこうやって接してくることが多い。
多分男性に慣れていないとでも思ったのだろう。
…実際今まで男性といる機会なんてなかったからまさにその通りで何も言えない。
「いいですよ。美人な姉様の相手をするなんて、そんなことを断るやつがどこにいましょうか。それに安心して下さい。こう見えて俺は女性をエスコートするのが得意なんです。アレックスに頼まなくて良かったですね」
「どういう意味?」
「あいつは…まあ顔に関しては双子なんで何も言えないですけど、毎日勉強ばかりで女性関係に対してはまるでダメなんです」
そう言ってやれやれと肩を落とすけれど、まるで自分の方が上だと言わんばかりの態度に私は見えた。
双子と言えどたかが数分違いで産まれてきた兄が皇太子で、弟は次期皇帝補佐という責任の違いに私はアレックスに同情する。
きっと私やアレクシスより忙しい日々を送っているのだろう。
女性関係に疎いのも仕方ないのかもしれない。