田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー



「ワン、ツー、スリー…ワン、ツー、スリー…」


軽快なステップを踏みながら踊る彼らを見て、私は笑いを堪えられないでいた。
なぜならあの2人が男性役と私が踊る女性役を踊っているからだ。
あの美男子2人が仲良く…いや、仏頂面で踊る姿には笑わずにはいられない。


「ちょっと姉様!笑わないでちゃんと見てますかー!」


不機嫌そうな声色で私の方を向くアレクシス。
先程も自分で言っていただけあって、女性役のアレックスをエスコートする姿はとてもらスマートだ。


「ちゃんと見てたわよ。…それじゃあ曲も終わったことだし、今度は私が踊るわ」


笑いながらだけど、しっかり見学していた私はすくっとイスから立ち上がってアレックスと交代する。

するとアレックスはすれ違いざまにこそっと耳打ちしてきた。



「姉上、アレクシスは少々強引なところがありますから気をつけて下さいね」



「わ、分かったわ…」


アレックスに悪気はないと思うけど、こうやって近づかれると弟なのにいちいち反応してしまう。
皇宮で一緒に住み始めて1ヶ月経つというのに、こういうことはまだまだ慣れない。
私がこうだからアレクシスがつけあがってからかってくるのよね…。
実の姉なのに…からかいすぎよ。



「姉様、あいつと何話してたんです?」

「何でもないわよ」

「それにしては頬が赤くなってますけど?」

「えっ!?」


私は咄嗟に両手で頬を押さえた。
男性に免疫がないどころか弟の何気ない仕草にも耐えられないなんて恥ずかしい…。

私は1人であわあわしている内にフロアに音楽が流れ始める。
するとアレクシスは慣れた手つきで私をリードし始めた。



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