田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
「さあ、仕切り直しよ!次は…アレックス、お願いね」
アレクシスとのことは何とかなったことだし、早速次へと思考を変える。
「よろしいのですか?少し休憩された方が…」
「大丈夫よ。今度はあなたと踊ってみたいのよ。早速お願いできるかしら?」
「そこまで言われると断れないですね。では…」
私の押しに断りきれなかったのか、観念して頷いてくれた。
そして新しい曲が流れ始めるとお互いステップを踏み始めるのだけど…。
「(…やっぱり近い)」
先程アレクシスが急に密着してきたように、アレックスも同じように近づいてきたのだ。
しかも彼はごく普通かのように涼しい顔をしている。
「あの…アレックス。あなたもアレクシスと同じようにしてないわよね…?」
念のためちらっと顔を見上げながら恐る恐る質問する。
するとアレックスは驚いた顔をして私を見つめた。
「疑っているんですか?…あいつと同じにしないで下さい。もちろん俺は普通に踊っていますよ」
「!!?」
その瞬間、脳天に稲妻が落ちたのかというくらいの衝撃が襲った。
…ということはアレクシスはダンスの始めは私にわざと近づかないようにしてくれていたんだ。
悪いのはアレクシスじゃない。
私の方だったんだ。
謝らせちゃったし、ちょっとアレクシスに罪悪感を覚える。
申し訳ないことをしてしまったな…。
…それにしてもダンスで男女がこんなに身体を密着させるなんて思いもしなかった。
弟と踊るだけでこんなに緊張するのに、もし知らない人と踊ることになったら…。
そんなことを考えるだけでもっと緊張してしまって、さっきみたいに途中で転んでしまったらどうしよう…。
なんて最悪の事態を考えてしまうのだった。