田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
「エヴァン。エヴァン・オルグレン・タイクーン」
と、そう名乗ったのだった。
「(あれ?タイクーンって…)」
その名は聞いたことがあった。
確かお父様の右腕である大臣の名前と同じ。
そしてオーフェリア帝国の公爵家であったはず。
「確かに名乗った。今度はお前の番だ。一体何者だ?」
「わ、私は…」
いくら公爵家の人だからと言って、見ず知らずの人に皇女だと名乗るなんて絶対だめに決まってる。
まだパーティー前だから私の存在を晒してはならない。
いっそ偽名を使ってこの人の言う通りどこかの令嬢にでもなりすまそうかと考えているところだった。
「あー!見つけたぞエヴァン!」
向こう側から走ってくるのはよく見知った声ですぐに分かった。
「(やっぱりアレクシスだ…!)」
この危機的状況に助け舟がきたような気分だ。
「まーたゴールドヘアを見てた…って、ええっ!?」
長身の彼の姿で見えなかったのだろう。
私が横からひょこっと顔を出すと、アレクシスは大きな声で驚きの声を上げた。
私はこの場を何とか切り抜けようと彼…エヴァン様を早く連れていくよう精一杯のジェスチャーをする。
するとすぐに意味が分かったのかはっとすると、アレクシスは私に小さく頷いた。