田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー



「ほらエヴァン、皆が待ってるから行くぞ!」


「待て。この女を知ってるのか?詳しく説明し…」


「それはまた今度!いいから早く!」



半ば強引に引きずりながらアレクシスと彼はこの場を後にする。
彼は終始納得のいかない様子だったけれどアレクシスのおかげで難を逃れた。

2人の後ろ姿が完全に見えなくなってから、私は盛大なため息をつく。


「はぁ…怖かった…」


緊張の糸が切れたのか腰を抜かしてしまってその場に座り込む。
その時ふと強い風が吹き、思わず目を閉じる。
黄金の木がざわざわと音を立てて、収まった頃に膝に目をやると1枚の葉が乗っていた。


「…これ、間近で見るともっと綺麗ね」


まるで加工でもしてあるかのような美しさだった。

だけど先程の彼はこの木から離れろとか言ってたから、何だかその言葉が頭から離れず、私は葉を大人しく地面に置いて立ち上がった。

本当は持ち帰って飾りたいくらいだけど庭園ならいつでも来れるしね…。



「皇女様ー!どちらにいらっしゃいますかー!」



時間が経ちすぎたのか、遠くからラナが私を探す声が聞こえた。


「(いけない!早く戻らないと…!)」


私はドレスの裾を持ち上げて急いで来た道を戻るのだった。


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