田舎娘が大国の皇女様に!?ー皇女の暮らしは毎日刺激的ですー
頭を下げるラナに一時の別れを告げ、私はエスコートしてくれるアレックスとパーティー会場へと向かう。
いつもは侍女や騎士たちのいる皇宮内もパーティーのため出払っているせいか、私とアレックスの足音だけが響いていてとても静かだ。
…まあこれから今とは真逆な場所に向かうのだけれど…。
「…ねえアレックス、さっき私に見惚れていたでしょう?」
「なっ…そんなことはございません!…ただいつもと雰囲気の違う姉上に驚いただけです」
「無理しちゃって」
やっぱりさっきアレックスが驚いたのは図星だったみたいだ。
私でさえ自分が自分じゃないみたいなんだもの。
それにしても弟にさえ手こずっていた私がこんな風にアレックスをいじれるくらいには成長できた。
アレクシスと違って素直で分かりやすい子だからっていうのもあるけど。
あとは他人に対して実際にどうなるのかが気になるところ…。
「あ、姉上…」
「うん?何?」
「姉上は…その…お綺麗です。これで満足ですか」
アレックスは顔を赤くしながらそう言ってくれた。
「あら、別に褒められたいと思って言ったわけじゃないのよ。…でもありがとう、アレックス」
不器用ながらに褒めてくれた弟に対してくすっと笑みがこぼれる。
そんな他愛のない話をしながら私たちは会場へ向かった。