【完】君に惚れた僕の負け。
朱里くんが突然不機嫌になるのは、大丈夫。よくあることで、異常なし。



あたしはお姉さんだから、そういうのはちゃんと許す。



「あれ?朱里くんこの店行きたいんじゃないの?」



「あぁ、そうだったっけ」



そうだったっけって。大丈夫?



朱里くんがさっき行きたいって指さしたばかりの雑貨店に入った。


そしたらね?
もう!すっごい可愛いの!


「わぁーなにここ~っ」


ここは天国?


好みのド直球だよ……。


だけどこうなると、同時に疑問もわいてくる。



「朱里くんって、こんな女の子っぽいとこに来たかったの?」



「あーうるさい……。興味ないなら出よ」



投げやりな声と遠い目で商品の陳列棚を視点さだめることなく見ている朱里くん。


全然見る気なさそうな彼に懇願する。



「まって。のんびり見たい」


「……そういう上目遣いはどうなの?……俺相手に狙ってんの?」


「これかわいい~」


「ねぇその耳って、都合悪いことは聞こえなくなるように改造でもされてる?」



朱里くんぶつぶつと何言ってるんだろう?


って、そんなことより。


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