【完】君に惚れた僕の負け。
「できたよ」
すっと、恋々の手元にスマホをすべらせた。
「ん?」
和やかな顔は一変してぎょっとしたものに。
「なにこれぇ……っ、勝手になにしてるの!?こんなの……カップルみたいじゃん」
スマホケースをとりはずそうとでもしそうな恋々の手を、俺の手は迷いなく覆うよね。
「剥がしちゃ駄目」
「えぇー……!」
恋々の隣で、ちょっと垂れ目なその目をみながら頬杖をついて聞く。
「俺との写真いれとくのってそんなに嫌?」
今、ごくっと唾のみんこんだよね。
「恋々?」
「そ……そんなことは、ないけど」
「じゃあいいよね」
「……うん」
恋々の手はスマホから離れた。
こんなに単純でちょろいのに。
一億回目の心の声が口から出そうになる。
なんで俺を好きになんないの。
「この朱里くん可愛いから、いっか。うん、大事にするね」
そうやって、ふにゃっと笑うだろ?
……っ、だから。
そういう可愛い顔して言わなくていいの。
7.君の魔力は相当ホンモノ
(どんどん好きにさせられるのは俺のほう)