【完】君に惚れた僕の負け。
◇
翌日の学校。
「恋々の昨日のインフタまじで笑ったんだけど」
紙パックジュースを片手にふうちゃんがあたしの席の前に座った。
今は中休み。
「インフタ? あぁー、昨日作った料理の写真あげたっけ」
「あんなの家族に文句いわれただろ?」
「え?ううん、言われないよ。完食してくれたし、おいしいって褒められた」
ふふ。家族っていうか朱里くんだけど。
「え?恋々の家族寛大だな。愛されてんねー」
関心するようにうなずくふうちゃん。
「愛されてはないけどね」
愛されては。だって、朱里くんだし。
「何言ってんだよ。あの献立を褒めるなんて愛なしに無理だろ」
「えー?」
「だって、まずコンポタに肉じゃがってのがナシじゃん。それで肉じゃがに白飯欲しいところに天津飯。さらに卵に追い卵。俺ならキレるね」
「言われてみれば……もしかして献立の組み方良くなかったかな?」
「あれ素でやってたの?お前天才じゃん」
笑いながらバシンと肩を叩かれてちょっとよろける。
ずいぶんひどい言われ方じゃない?
「愛されてる証拠だろ」
なでなで。その手は全然いらないんだけど……。