【完】君に惚れた僕の負け。
チャイムが鳴って、授業が始まった。
――愛されてる証拠。だって。
ふふ。
朱里くんってば……。
幸せな気持ちいっぱい抱えているうちに、朱里くんに会いたくなってきた。
だからお昼休み、1-4のクラスをこっそりのぞいたの。お弁当片手にね。
あわよくば一緒に食べたいなぁーって。
お、朱里くん発見。
だけど朱里くんは女子生徒と会話中だった。
「朱里ぃ、デートいつにする?」
頭のてっぺんからつま先まできらきらした女子に腕を抱きしめられるんだけど……!
それで、で、で、で、デート……?
「別のやつを誘えばいいじゃん。なんで俺?」
「だってぇ。朱里が一番イケメンなんだもん。それに謎に彼女いないし」
「うるせーよ」
「とにかくアタシは朱里がいいのー!」
抱き着かれた腕を払うことなく、女子を見おろして「ぜったい嫌」って笑うあの顔。
……なにあれー。
まんざらでもないってやつ?
ふーん。
へー……。
でれでれとデートなんか誘われちゃって。あんな可愛い子に。